第30章 〜30〜
「それに、既に決まった未来などつまらん。それこそ生きる意味も戦う意味もないだろう。俺達は信長様の、駒となり戦い、信長様が目指す国を作り上げるだけだ」
「そうですね……」
(なんだ……本当に詳しく聞くつもりないんだ……安心した……)
御殿を出て、秀吉さんを先頭に城へと戻る。
すると、秀吉さんに聞こえないよう小声で話しかけられた。
「、足労かけたな」
「いえ、とんでもない」
「また、呼ぶことがあるかもしれん。」
「……はい。」
「その時は、お前ひとりで来い。」
「え……」
私が呆然としていると、光秀さんはニヤリと笑みを残し先を歩いていってしまった。
(……この回……次回あるの……次こそ何聞かれるのかな……本当に佐助くんに歴史のこと聞かなきゃ……)
私は焦りを感じなからも、最初に思っていたほど光秀さんが悪い人でない事を確信していた。
確かに意地悪な、策士的な、どこか掴めない印象もあるが、決して歴史で習った主君を陥れる様な人物ではないと感じた。
(でも、秀吉さんが光秀さんを嫌ってる……警戒してる?理由って何なんだろう……ただの性格の不一致なのかな……同じ軍にいるのに、ほかの人達とは違う空気感あるよね……)
詳しい事はそのうちそれとなく政宗にでも聞いてみようと心に決めた。
(まあ……私の為を思ってあえて詳しい歴史のこと聞かないでいてくれたんだよね……優しい所も持ってるんだろうな……)
私は少し微笑み、前を歩く2人を追いかけながらそう思った。