第30章 〜30〜
「そろそろ軍議の時間だな」
光秀さんが立ち上がった。
「お前も参加するか?」
「……いえ、難しい話はわからないので遠慮します」
「ふ、懸命な判断だ」
「ですよね……」
秀吉さんも立ち上がり、光秀さんに感心したように話しかけた。
「お前は、もっとが知る歴史について根掘り葉掘り聞くんじゃないかと思ったんだが」
「まあ、興味はある。それはお前もだろ?」
「まあ……」
「だが、聞いてしまえばつまらないだろ?」
「まあな」
「例え本当にが言う通りに事が進もうが、本能寺の件のように、いつかずれが生じ、が言った事が全く違う結末になるかもしれない」
光秀さんは横目で私を見て真剣な顔で言った。
「そうなったら、。お前に責任は取れるか?」
「……取れません。それに……光秀さんにも、例え信長様にも誰にも、この時代の詳しい事は思い出しても言うつもりはありません。」
「ふ、やはりな」
「え、気がついてたんですか……?」
「ああ」
「……(騙された気分……)」
「恐らく、お前は言わないと踏んでいた。だから俺達がどう歴史に伝え残っているのか敢えて聞いた」
「……(覚えてないことが大半だけど……言わなくて正解だった……)」
「まあ、懸命な判断だったな」
光秀さんは柔らかい表情で私の頭をくしゃっと撫でた。