第30章 〜30〜
3人で御殿を出ると、政宗が私の手をすっと離した。
残念に思いながらも、秀吉さんに茶化されるのが嫌で大人しくしていると、政宗が私の頬を撫でた。
(秀吉さんがいるのに……やめてよ……)
恥ずかしいからやめて欲しい気持ちと、嬉しい気持ちで揺れ動いていた。
「じゃ、またな」
「う、うん」
「秀吉、よろしく頼む」
「ああ。」
秀吉さんに私を頼むと、政宗は来た道を戻っていった。
(ったく……)
秀吉さんはため息をついて私をみた。
「はぁ……お前ら、見せつけてるつもりか?」
「ち、違うよ!そもそも私は何もしてないじゃない」
「わかってるって」
赤い顔でムキになるを、頭を撫でて落ち着かせる。
「まあ、仲が宜しいみたいで何より」
「……もう。」
「ほら、行くぞ」
「うん」
秀吉さんと光秀さんの御殿へと向かう。
「あー、何聞かれるんだろう」
「あいつのことだ、きっとお前をからかうつもりなんじゃねぇのか?」
「私もそう思う……」
「ま、あいつが変な事言い出したら、俺が止めてやるから安心しろ」
「うん。やっぱり秀吉さんが付いてきてくれてよかった。」
「そうか?」
「うん。心強いよ」
「ならよかった」