第29章 〜29〜
三成くんに祝福され、暖かい気持ちになった。
ふわふわとした気持ちで箸を進めていると、政宗が思い出したように言った。
「そういえば、お前午前中どこにいた?」
「ん?三成くんと書庫にいたよ。」
「書庫?」
「うん。書物の整理してたの。」
「なんでお前が?」
「私がお願いしたのです。」
「へぇ……そうか」
「私がやるべきなのですが……やろうとしたら秀吉様に止められてしまいまして……世話役の様にお願いすることにしたのです」
三成くんが事情を説明すると政宗は考え込むような表情をしている。
不思議に思って声をかけた。
「政宗?」
「ん?」
「どうかした?」
「いや、俺も世話役に何か頼んでやろうと思ってな」
「例えば?」
「考えとく。楽しみにしてろよ?」
「はいはい(なんだろ、すっごい嫌な予感する……まあ、多分言う事聞いちゃうんだろうな……)」
惚れた弱みってやつだな、と考えていると、三成くんが思い出したように私に聞いた。
「様午後はどうなさるのですか?」
「あ、光秀さんの所行くんだ。」
「光秀?なんでお前が?」
「……なんでだと思う……?」
「お前もわからねぇのかよ」
政宗が呆れたように言う。
「うん……なんか私に聞きたいことがあるみたいで話したいから御殿へ来いって約束してるの。」
「光秀様が……なんでしょうかね?」
「うーん……光秀さんが私と話して楽しいとは思えないし……」
「そうか?あいつは人をからかうのが好きだからな。は格好の餌食になるんじゃねぇか?」
「……それすっごい嫌なんだけど」
「まあ、そんな顔してやるな。」
政宗は私の髪を梳きながら言う。
その仕草が妙に優しくて不意に胸が跳ねた。
「そうですよ、案外光秀様と仲良くなれるかも知れませんよ?」
「……そうかな……」
「えぇ、光秀様は物知りで人と違う見方をなされる方です。お話していてとても勉強になるのでとても素晴らしい方ですよ」
「そうだね……とりあえずからかわれないように頑張るよ」
三成くんに笑顔で返すが、内心では恐らく仲良くはなれないだろうなと思った。
(多分、からかわれて私が困って終わりそう……)
三成くんは食事を終えて、仕事のため食事場を後にした。