第29章 〜29〜
「…………」
家康が気まずそうな顔で私の名前を呼んだ。
「ん?」
「昨日はごめん」
「……え?」
「昨日……政宗さんの御殿に行った時。」
「あ……(なんで家康が謝るの?)」
「ちょっと……色々考え過ぎてて。が親切で聞いてくれてたのに……怒ったりしてごめん」
「……家康は悪くないよ。私が無神経に色々聞いたから……ごめんね」
「……もう俺決めたんだ」
「?」
家康はちらっと三成くんを横目で見た。
食事に夢中で話を聞いていなさそうなことを確認すると私に向かって言った。
「俺、優鞠にちゃんと正面切って好きだって言った。」
「え!ほんと?」
家康は無言で頷いた。
「そっか……(昨日の夜から優鞠に会ってないから知らなかった……そっか……優鞠どうしてるかな……)」
「まだまだだけど……いつか振り向かせる」
「……そっか。家康、なんか昨日と違ってスッキリした顔してるね」
「……そう?」
「うん。」
「、結局俺が言った通りになっただろ?」
「……ああ、男は女を掻っ攫うぐらいじゃなきゃってやつ?」
「掻っ攫うって何……」
「いや、本当に好きなら何も気にしないでいいんじゃない?ってこと」
「ああ。さっき家康とばったり会ったら、妙に落ち着いてやがって、話を聞いてみたらとりあえず上手いこと話が進んだみたいでな。」
「別に……政宗さんに話すつもりなんか無かったのに。」
「まあそう言うな。」
政宗は家康の頭を撫で回しながら言った。
家康は心底嫌そうにその手を払い除けた。
「全く、政宗さんは強引すぎる」
「そうか?」
「も気をつけなよ」
家康はそう言うと、立ち上がって食事場を出ていった。
「気を付けろだとよ」
「……まあ……もう遅いよね」
「よくいう」
政宗にコツンと頭を小突かれた。
そしていつしか私達を眺めていた三成くんが言った。