第29章 〜29〜
書物を確かめては振り分け、棚に入れていく。
膨大な量に目眩を感じながらも、休めることなく手を動かしていく。
時間を忘れ、てきぱきと手を動かしていく。
一つ目の本棚が埋まりきったと同時に三成くんに声をかけられた。
「お疲れ様です。様」
「まだまだあるけど……今日午後予定があるの。続きはまた明日でもいいかな?」
「ええ、構いません。本当に助かります」
(うん。単純な仕事だけど三成くん嬉しそうだしなんか達成感あるな……)
1人で充実感を感じていると、あることを思い出し三成くんに尋ねる。
「あ、そうだ三成くん。ここにある本で、私でも分かるような本ってないかな?」
「様でもわかる……といいますと?」
「この時代の文字がまだよく分からなくて……文字の読み書きが出来る、子供向けみたいなわかりやすい本とかってないかな?」
「そういうことでしたか……そうですね……ここにあるのは軍事に関することの本ばかりなので……」
「ああ、そうだよね……お城に子供向けのものなんて無いよね……」
「あ、では私から贈らせてくだい。」
「え?贈るって……」
「この後、仕事で城下へ行くので、読み書きを覚えるのに適した本がないか探してきます。」
三成くんはにっこり笑って私を見た。
「え……でも悪いよ……お仕事なんでしょ?」
「ええ、でも様のために早く切り上げていい本を探してきます。書庫の整理のお礼を兼ねて、受け取ってください。」
「……じゃあ、お願いしようかな」
私が遠慮気味に言うと、益々笑顔を輝かせて三成くんが言った。
「お任せ下さい。様にあったいい本を見つけてきますね」
「うん。ありがとう」
キラキラの笑顔に推されながらも、ありがたくお願いすることにした。
「では、見つけ次第お届けに参りますね」
「そんな急がなくてもいいからね?」
「はい。では、そろそろ昼餉に行きましょうか」
「うん」
三成くんと書庫を出て食事場へ向かう。
食事場へ入ると政宗と家康が居るのが見えた。