第29章 〜29〜
書物の並べ方を丁寧に紙に書いてくれる三成くんを眺めながら笑いがこぼれた。
(この時代に来て……大事なものが一気に出来たなぁ……友達もお兄ちゃんも弟も……まあ、弟は私が勝手に思ってるだけだけど。あと……彼氏も……)
前の時代では持てなかったものが今の自分には沢山ある。
戸惑うことは多くても、結果的にこの時代に来て良かったなぁとしみじみ思った。
三成くんが書き終わった紙を見せながら書庫の説明をしてくれた。
「この棚は書物の棚です。年代順にならべて頂けると助かります」
「年代順ね、わかった」
「大体の書には書かれた年数が記してあります。」
「うん……(何となく読めるけど……大丈夫かな……)」
「何か分からないことがあったらなんでも私に聞いてくださいね」
「うん、わかった。」
そうして私が本棚を前にどこから手をつけようかと考えていると、背後に置いてある文机に三成くんが腰掛けた。
「三成くん、なんかあったら呼びに行くから、ほかのお仕事してきて大丈夫だよ?」
「お気遣いありがとうございます。ですが、この書庫に様1人で残していくのは些か心配です。なので、ここでもできる仕事を持ってきたので大丈夫ですよ」
「そっか……ありがとう三成くん」
「とんでもない。お礼を言うのは私の方です。私のことはお気になさらず、作業をなさってください」
「うん。わかった」
仕事をくれた三成くんに感謝をしつつ作業を始めた。
(うーん……漢数字はなんとなく読めるけど……内容はほとんどわからないな……)
現代と戦国時代のギャップを感じ、この先も戦国時代で生きていくなら覚えることが沢山あるとひしひしと感じた。
(少しずつ……勉強していかないと。なんか手ごろな本とかないか、後で三成くんに聞いてみよう)