第5章 〜5〜
家康は女の背後に馬をつけ、声をかけた。
「ねぇ」
「…………」
「(無視かよ)ねぇ、そこのアンタ。聞こえてんの。」
「………………」
「……チッ」
何度声をかけても反応のない女に腹を立て、馬で女の正面へ回る。
ザザッ…………
「……ねぇ、聞こえてないの?」
「!!!え、私?(びっくりした……)」
「アンタ以外に他に誰がいんの。」
「あ……ごめんなさい……」
「はぁ……ホントだよ。とりあえず後ろ乗って。」
「え……なんで……」
「アンタ捕まえてこいって言われてんの。」
「(捕まえて??誰に……)……嫌です……」
「嫌とか、アンタの意見聞いてないから。」
「…………そもそも貴方、誰なの……」
「名乗る必要無いと思うんだけど。」
「なら……私も乗る必要ないので乗りません。」
「はぁ?喧嘩売ってんの?」
「…………違いますけど……」
「アンタを連れてかなきゃいけないの。オレだって好きでやってる訳じゃない。」
「そんな事言われても……」