第28章 〜28〜
信長様とが話しているのを聞きながら、妙に納得する自分がいた。。
(政宗か……まあ、最初が現れた時からあいつはの事気にかけてたからな……)
何処か寂しい気持ちがして自分で自分に驚いた。
(あれだな、に惚れてたとかじゃなく、妹ととして可愛がってる気持ちで寂しいんだろうな……)
そう考えていると、信長様が話を切り上げ、が天守から出ていった。
それに続こうと立ち上がろうとすると、信長様に声をかけられその場に座り直す。
「が政宗と恋仲だと聞いてから、腑抜けた顔だぞ」
(腑抜けた……顔?)
信長様は俺がに惚れてるとでも言いたいのか……
俺がを好いているのは確かだが、恋愛のそれではない。
本当に妹と思っての気持ちだ。
だが、ここで変に取り繕うと益々疑惑が膨れ上がるような気がした。
「驚いただけです」
信長様に悟られないようそう言い残し、天守を後にした。
(信長様は……俺がとならってお考えなんだろうな……)
嫌でも過去の事が思い出され、天守の襖を背に立ち止まる。
過去、戦で命を落とした女の笑顔が浮かんで儚く消えた。
自分の人生で唯一本気で愛した女。
そして、自分の目の前で、自分のせいで死んだ女。
(たとえでも、どんな女でも、俺はもう本気で人を愛さないと決めたんだ。信長様も薄々はご存知なはず……。未来からきた女なら別だとお思いなのか……)
信長様の気持ちに感謝しているが、いくら信長様がそう言っても自分の気持ちは変わる気がしなかった。
(例え、大事に思える相手が出来ても、俺はいつ戦で果てるかわからねぇ。それに、この命は信長様に捧げたんた。自分を命をかけて守ってくれない男なんて、女からしたらそれこそ願い下げだろうな)
苦笑いしながら廊下を歩き出す。
(戦に行く時、残していくのが辛い相手なんて居ない方がいい。無事に帰れるかもわからない。待っててくれだなんて言えない。いいんだ、俺はこのままで……)