第28章 〜28〜
天守について中に入り、膝まづいて信長様に要件を聞くと、やはりの処遇についての話だった。
今日仕事を見て周り、女中の仕事をしたいというの意思をお伝えしようとすると、それを遮って信長様が「の仕事はもう決めた」と仰った。
(……どういうことだ……)
そう驚いていると、を真っ直ぐ見据えて信長様は言った。
「世話役だ」
ぽかんとしていると目が合った。
(意味わからないって顔だな……)
困惑しているを心配しつつも、世話役について考える。
(世話役……か……)
世話役という名前ではないが、武将達には既に身の回りの世話をする家臣達がいる。
それなのにわざわざ『世話役』と名前を設けてにやらせるという事は……
信長様のお心遣いを理解し、少しだけ微笑んだ。
は納得かいかないような顔だったが、渋々了承した。
(まあ、女中の仕事もしていいって仰ってるし、大丈夫だろ)
ほっとしていると、全く考えていなかった言葉が聞こえてはっとした。
「政宗と恋仲になったそうだな」
「(……は……?)……政宗と恋仲……?」
そう思ったと同時に言葉が口をついていた。
を見ると、気恥ずかしそうにしていた。