第27章 〜27〜
そろそろ着物が縫い上がる。
キリのいい所で一息つこうかと思っていると、背後から家康に声をかけられた。
(……家康……)
に用事かと聞けば私に会いに来たと言う。
家康は私と友達になりたいと言ったが、お互い大人になって、立場も変わって……
そんな2人が友達になれるのか。
家康と話した時からずっと心に引っかかっていた。
お茶を煎れて座りると、家康が私を見ながら言った。
「優鞠は誰か好きな人いるの?」
(何でそんなこと聞くの……)
いきなりの質問に驚きながら、咄嗟に笑顔で居ないと答えた。
すると家康は考え込んでいるような表情で黙ってしまった。
変な事を言ってしまったかと不安になり、名前を呼ぶと、忘れてほしいと言われた。
そんなことをいきなり聞かれて、忘れろだなんて。
一応わかったとは言ったが、忘れられはしないだろうなと感じた。