第26章 〜26〜
城に戻り、優鞠に会いに行こうとの部屋へとりあえず向かっていると、が廊下でうろうろしてるのが見えた。
「なにしてんの」
(じゃあ優鞠はの部屋にいないかな……癪だけどに聞くか……)
するとが政宗さんの御殿への行き方を尋ねてきた。
(なんで俺が案内しなきゃいけないの……)
ぐだぐだ言いながらも結局政宗さんの御殿まで案内する事になって、2人で歩き出す。
(そう言えば……政宗さん多分の事……)
自分と優鞠の関係と、政宗さんたちの関係は似ても似つかない事は分かってる。
別に仲間意識とかではなく、なんとなく聞いてみた。
「昨日……恋仲になったよ」
まさかの返答に無意識に足が止まった。
「……家康?」
「ふぅん」
(もう恋仲になった……?)
まだ2人は出会って数日なのに、もう上手くまとまってしまった2人に、自分でも意味がわからないくらい負の感情が流れ出すのがわかった。
(きっと政宗さんから言ったんだろうな……今まで一人の女に対してあんな態度見せる政宗さん初めて見たし……)
「よかったじゃん」
「うん……ありがとう」
心にもない祝福をすると、はふわっと笑った。
多分優鞠は俺のためにこんな風に笑ってくれない。
に気が付かれないように、心の中で溜息をついた。
政宗さんの御殿に向かいながら、が俺のことについて質問してくる。
今、自分の抱えている1番の悩みを他人にずばずば聞かれること程腹の立つことは無い。
に悪意がないことも、親切心で聞いてくれている事も分かっている。
でも、それを受け止めきれるほどの余裕が今の俺には無かった。
「はぁ……なんでもかんでも優鞠の名前出すの辞めてくれる?」
つい、口が滑ってに文句を返してしまった。
別に本気でに腹を立てた訳じゃない。
名前を出されて、上手く交わせないほど心に余裕が無かった自分が腹立たしかった。