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イケメン戦国〜未来を夢見る〜

第26章 〜26〜






(いい天気だなぁ……)



心とは裏腹の天気のなか、城を抜けて城下に出た。
別に欲しい物も無いが、ふらふらと店の前を歩く。



(何してんだろ……暇なわけじゃないのに。仕事に手がつかないなんて……あ。)


露店の商品にふと目がいった。
その店は簪や櫛など、女が喜びそうな物を扱う店だった。
普段なら絶対興味なんてないのに、一つの簪に目がいった。
その店の前にしゃがみこみ、簪を手に取って眺める。


(この花は……菊?)


すると、店主が話しかけてきた。


「おお、家康様じゃないですか」

「……どうも」

「その簪、美しいでしょう」

「…………」

「菊の花をあしらってましてね。」

「菊の……花……」

「今日仕入れてきたばかりなんですよ」


人の良い店主に勧められ、簪をじっくり見てると、優鞠の顔が浮かんできた。


(喜ぶかな……)



「家康様、大事な方への贈り物ですか?」

「え……」

「いい顔で微笑んでらしたから」


店主は人好きのする笑顔で言った。


(無意識に……笑ってた……)


「……店主、これ包んでくれ」

「まいど」


店を後にしながら、買った簪を袖裏にしまう。


(優鞠に会いに行こうかな……)



そう考えながらすこし足早に家康は城へと戻った。




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