第26章 〜26〜
その日は朝から軍議があった。
今の自分に大事なことは、目の前の戦でどう動くのか、どう戦うのか。
でも、頭の片隅ではずっと優鞠の事を考えていた。
秀吉さんが信長様に報告をしてる時も、その報告に関して三成が策を練っている時も、話を聞きながらもずっと考えていた。
考えても考えても答えが出なくて、軍議の最中だというのに苛立ってきた。
(はぁ……なんでこんな悩むんだろ。優鞠に会いたい……でも今会ったら自分がどんな事するか分からないから……)
家康は誰にも聞こえない程の大きさで溜息をついた。
そんな家康を対面側から見ていた政宗は不思議に思って、軍議が終わったら声をかけようとしたが、解散の一声と同時に家康は足早に広間を去ってしまった。
(ったく……家康の奴、何をそんなに苛立ってんだ?)