第25章 〜25〜
(あ、そうだ。トマト……)
私がトマトを洗って切ろうとした時、政宗が立ち上がって私の元へ来た。
「その、トマトって美味いのか?」
「食べてみる?」
「ああ。」
私は薄くスライスしたトマトを政宗に差し出す。
政宗の手にトマトを載せようとしたその手を掴みそのまま口へと運ばれた。
「ちょ……」
「うーん……美味くはない……」
(今の行動は素なの……それで照れる私が馬鹿みたいだな……)
平常心を装いながら、自分でもトマトを味見してみる。
「うーん……生で食べるにはあんまり美味しくない品種なのかな……」
「いろいろ種類があるのか?」
「うん。私のいた時代ではね。生で食べるのと、加熱して美味しいのがあってね。」
「ほぉ……」
純粋に料理好きとして目を輝かせる政宗を見て素直に可愛いなと感じて笑ってしまった。
「ふふ、なんか可愛い」
「なにがだ?」
「政宗が。楽しそう」
「ああ、料理の事は色々知りたいからな。それにしても可愛いとかいうな。」
「だって。子供みたいに純粋な顔で話聞いてるから可愛くて」
「おい、可愛いなんて言われて喜ぶ男なんていないぞ」
「そうだね。ごめん。」
「ったく。」
「ふふ」