第25章 〜25〜
話に区切りがついた所で、私は立ち上がる。
「そろそろご飯作る。」
「おう。」
「台所……は食事場?」
「いや、俺用に作らせた台所がある。」
「え、そうなの?」
「ああ、城の台所だと好きな時間に作れないからな。この御殿の裏にも台所作ったんだ」
「へぇ……」
「こっちだ」
政宗に連れられて奥へ進むと、小さいながらも台所があった。
「城の台所に比べれば小さいが、料理するのに必要なものは揃ってる。昨日買った材料も運ばせておいたから調味料とか好きに使え」
「うん。すごいね、ここ……」
「お前なら好きに使っていい」
「ほんと?」
「ああ、そのかわり作ったものは食わせろよ」
「ふふ、もちろん。ありがとう。」
「ああ。」
私は目の前に並んだ食材をみて、何を作るか頭を悩ませる。
(うーん。イタリアン作りたいけど……美味しく出来るかな……)
手を洗って調理を始めた私を、政宗は少し離れた所で椅子に座って眺めている。
(見られながら料理するのって緊張するなぁ……)
調味料を見渡しながら、メニューを頭の中で固めていく。
白身魚をさばいて、切身に下味を付ける。
その間に魚のアラで出汁を取る。
(コンソメなんて無いもんなぁ……)
色々悩みながらも料理をすすめていく。
「あ、政宗って食べられないものある?」
「いや、無い。」
「そっか」
出汁を取ったスープを塩胡椒で味を整え、野菜を切り加えながら煮込んでいく。