第21章 〜21〜
「俺が……お前を好きだと言ったらどうする?」
「…………は?」
「ふっ、間抜け顔だな」
「いやだって……え?嘘でしょ?」
「じゃあ、嘘だ。」
「……なにそれ」
「嘘だ。」
「もう、どっちなの……」
「ふ、。……好きだ。」
「……ほんとに?」
「ああ、本当は伝えるつもりなんて無かったんだがな」
「……なんで……?」
「お前が、もし未来に帰っちまうなら。俺の気持ちなんて伝えても無駄だと思ったんだ」
「……無駄じゃないよ……」
「そうか?」
「だって……もし私が未来に帰ろうって思っても、政宗が……好きだって言ってくれたら……考え直すもん……」
「本当か?」
「うん……」
「そうか」
そう言った政宗は嬉しそうに微笑んで、本当に私の事好きでいてくれるんだなと感じて嬉しくなった。
さっきは考え直すなんて思っていたが、自分も好きだと言ってしまおうかと思った矢先、政宗の顔が少し曇ったのが分かった。
「だが……お前とその恋人とやらになるのは……正直怖い」
「え、怖いってどういうこと?」
「一つはお前が未来に帰るかもしれない事が引っかかってた。もう一つは……」
「もう一つ……?」
「俺は一国を纏める武将だ。」
「うん?」
「俺は目の前に戦があれば、迷わず飛び込む。」
「……うん」
「易々とやられるつもりは無いが、その戦で俺が死なない保証なんてこの世には何処にもない」
「……そうだね」
「今までなら、例え戦で死んでも自分の信条が果たせるならそれで良かった。」
「…………」
「でも、もしを残して俺が死んだら」
「…………?」
「お前は俺を思って泣くだろう?」
「……そりゃ、泣くよ……政宗に死んで欲しくないもん」
考えただけで泣きそうになるのに。
でもこの時代、明日にでも戦が起きたら、政宗は戦いに行かなければいけない。
今は平和に祭が出来ていても、明日には……
この時代がそんな危険と隣り合わせな事は分かっていたはずだが、自分の大事な人がもし命を落としたら……
そう考えると怖くてたまらなくなった。