第4章 〜4〜
「なんだ、女が1人か」
「……誰……」
「何故お前に名を名乗らなければならぬ」
(そうだけど……)
「謙信様!」
声をかけてきた男を追ってきた男が、私を見ながら先にいた男に話しかけ続ける。
「謙信様、どうしました」
「ここで話し声が聞こえた。だが来てみるとこの女しか居ない。おい、女」
「……なんでしょう」
(さっきの人のこと話した方がいいのかな……でも知らない人だし……この人もなんか危なそうだし……って刀持ってる……やばい……変な事言ったら……斬られる……??)
「ここで誰かと話をしてなかったか?」
「いえ、ずっと私1人でしたけど……」
「……そうか。ならいい。」
「謙信様、早くここを離れますよ。織田軍に今見つかるわけには行かないってわかってますよね?」
「お前はうるさい。」
「わかってるなら早くしてくださいよ。この変な女に構ってる暇ないです」
「……女、また会うだろう……」
「え……なんで……」
なぜまた会うのか、それを聞き返そうとした時にはもう謙信と呼ばれた男は馬を走らせ、後ろにいた男も私をチラッと見てから後を追いかけて行った。
(なんなの本当……変な人ばっか……)