第4章 〜4〜
「……いえ……なんでも……ありません……」
(また着物着てるし……あの顔の傷なに……怖すぎでしょ……)
未だ整わない呼吸を必死に隠そうと、心の焦りを読み取られまいと、ゆっくりと言葉を選んで返す。
「お困りのようだな……。なにか、私に出来ることはありますかな?」
(……怪しい……まださっきの2人の方が……ってみんな怪しいか……でもこの人、なんていうか……殺気立ってる……?殺気……?)
「お嬢さん?大丈夫かな?」
「……はい。お気遣い、ありがとうございます……私は大丈夫なので……」
どうにか男と離れなければと思いつつ、身体が硬直したように動かなくて、焦り始めた。
その時、すぐ近くまで誰かの来る音がした。
(誰か来る……もしかして……馬……?馬ッ??)
「どうやらお困りではないようだ……。それでは私は失礼する。」
「あ、はい。ありがとうございます……」
(よかった……とりあえず何事もなく…… )
馬と思われる足音がすぐそこまで来て、気を取られた瞬間……
「えっ……(もう居ない……音もせず消えた……?まさか……)」
ついさっき話しかけられた男は既に消えていた。
どこから現れたのか、どこに消えたのか……
(怪しすぎる……)
そんなことを考えていると、森の中から馬に乗った男が現れた。