第20章 〜20〜
「あと見たい店はあるか?」
「うーん。そうだな……」
正直まだまだ気になるお店は沢山ある。
でももうすぐ夕暮れを迎えそうなので今日の所は我慢して次の楽しみに取っておこう。
そう思った時、一つ考えが浮かんだ。
「あ、お菓子屋さんに行きたい」
「わかった」
そういう私を政宗はお菓子屋さんまで案内してくれた。
「わぁ……綺麗なのが沢山……」
色とりどりの和菓子から饅頭などのシンプルなもの、様々なお菓子が並んでる中で、私が目に付いたのは小瓶に詰められた金平糖だった。
「金平糖だ……かわいい……」
「お嬢さん、それは今回の仕入れで最後の一つだ。逃したら次はいつ入るかわからない。金平糖は貴重だからね」
「へぇ……」
私は小瓶を手に政宗を振り返る。
「政宗、お願いがあるんだけど……」
「ん?」
「……お金貸して!」
「欲しいなら買ってやるって」
「いや、欲しいんだけど、これは自分で買いたいっていうか……」
「どういう事だ?」
「……優鞠へのお土産にしたいの。だから、政宗が買っちゃ意味無いの。」
「ほぉ?」
私は手を合わせて政宗を見上げる。
「必ず仕事してお給料貰ったら一番に返すから、お願い!」
「ふっ、わかった。そういうことなら喜んで貸してやる」
政宗は私の頭を撫でながらそういった。
「ありがとう……」
どうしても優鞠へのお土産は自分で買いたかった。
本当ならちゃんと働いたあと町に来て買うのが筋だが、この金平糖がいつ入るか分からないとなると今買うしか道はない。
金平糖にこだわりがある訳では無いが、なんとなく金平糖に惹かれたのだった。