第20章 〜20〜
「ん?どうしたの?」
「今日、1番生き生きとしてるなと思ってな」
「生き生き……そうかな……」
「ああ、楽しそうだな」
「楽しいっていうか、ワクワクするっていうか。料理してると料理の事だけ考えてればいいから、その時間が好きなんだよね……」
私がそう言って笑うと、政宗は私の頭をポンポン撫でた。
「?」
「好きなもん買えよ。それで俺に何か料理してくれ。」
「え、でもお金持ってないし……」
「どうせ俺が食うんだ。俺が払う。」
「……なら……」
プライベートで人に料理を作るなんて。
人の為に料理を作る事がこんなにわくわくするものだったなんて知らなかった。
仕事とは違う楽しさに心が踊った。
「じゃあ、あと魚屋さんも連れてって」
「おう。任せとけ。」
「じゃあ、これとこれとこれ。あ、トマトあるじゃん……」
「トマトって美味いのか?」
「え、食べないの?」
「あんまり食うやついねーな。」
「そうなんだ…… 」
私達の会話に気がついたのか、平昌さんが声をかけてきた。
「それは観賞用でして。食べられるようだけど、食べ方がわからないといってあまり売れないんですよ。」
「観賞用?トマトが?へぇ……(私の時代のと種類が違うのかな……)」
イタリアンといえばトマトは欠かせない。
どんな味がするのかわからないが、とりあえず買ってもらうことにした。
「じゃあ、これでお願いします。」
「はいよ」
政宗が会計してくれて、城まで届けて貰えるよう頼んでくれた。
「よし、じゃ魚屋いくぞ。じゃあ平昌、また寄る。」
「ありがとうございました。またお待ちしております。」
その後、魚屋でも思ってた以上の品揃えであれもこれも欲しくなってしまったが、なんせ私は無一文。
それにこの時代には冷蔵庫なんて便利なものは無い。
一食分だけ、白身の切身を買った。
それも後で城に届けてもらえるよう手配してもらった。