第20章 〜20〜
(まあ、政宗に借りたお金じゃあんまり意味は無いかもしれないけど、秀吉さんが働くならお給料はちゃんと出すって言ってくれたから……貰ったらちゃんとすぐ返すし……よし)
私は政宗からお金を受け取り、主人に言った。
「これ、ください」
「はい、ありがとう」
(戦国時代で初めて買い物した……)
妙な達成感を味わいながら店を出る。
「政宗、本当にありがとう」
「どういたしまして」
「働いて、お給料貰えたら一番に返しに行くね。本当にありがとう」
私は嬉しくて政宗に笑顔で言った。
すると政宗は柔らかく微笑んだ。
「お前は笑ってた方がいい」
「え?」
「お前に悲しい顔似合わねぇ。ずっと笑ってろ」
「……うん……」
不意打ちで笑顔を褒められて触らずとも分かるくらい顔が熱かった。
茶化されると思いきや、真面目な顔をした政宗にそっと頬を撫でられた。
「……」
「……な、なに」
「……なんでもない」
「……なにそれ」
「いいんだ、気にするな」
「そう……(キスされるかと思った……)」
政宗はつい口をついて気持ちを伝えそうになったのをぐっと堪えた。
(こらえる必要もないか……あるとすればのため……か。俺も随分女々しくなったもんだ。)
政宗は心で自嘲した。
「よし、そろそろ神社行ってみるか」
「うん……お祭り楽しみだなぁ……」
なんとなくぎこちない雰囲気を感じつつも2人は神社へと足を向けた。