第4章 〜4〜
「おい、政宗!」
「秀吉……ちょっと来てくれ。お館様を助けたこの女なんだけど……」
(ひ、ひでよし……ってもしかして《とよとみひでよし》?嘘でしょ……)
秀吉と呼ばれた男が、目の前の男と私に聞こえないように会話を始めた。
(さっき助けた男……信長って言われてた……そんで今来た人が秀吉……で、政宗……?政宗って誰だっけ……聞いたことある気がする……)
まるでパズルのように少しずつはまっていくピースが急に恐ろしく感じて、急に息が吸えなくなった。
「……ッ……(苦しい……)」
「……なぁ、お前、詳しく話を聞かせてくれないか?」
駆け寄ってきた秀吉という男に怪訝そうに話しかけられ、驚いて顔を上げると、2人にまじまじと全身を舐めるように見られ、理由もわからず体が震えるのが分かった。
そして、自分の意志とは裏腹に、勝手に足が動いた。
気がつくと寺からも着物を着た集団からも、目の前の男達からも逃げ出すように走り出した。
「あ、おい!まて!」
(なんか、よく分かんないけど……怖い……なんで?ここ平成じゃないの?タイムスリップした……?でもなんで私が?)
自分の意志とは無関係に動く足に驚きながらも、止まることが出来なかった。
(逃げてもしょうがない……でもあそこに居るのも怖い……どうしよう……どうしよう……!!!)
体力の限界まで走り続けたのか、目の前に川が見えてガクッと、膝から崩れ落ちた。
「はぁ……はぁ……なんなの……意味わかんないんだけど……」
うずくまったまま息を整えようと肩で呼吸をしていると、背後に人がいるような気がして後ろを振り向く。
(……だれ??)
「お嬢さん。こんな夜更けに1人で如何されたかな?」