第12章 〜12〜
「家を出られて、気持ちは晴れ晴れしてたけど、やっぱり暮らしていくには厳しくてね。学校行きながら働くのは本当辛かったなぁ」
「学校……?」
「あー、なんて言えば伝わるかな?」
「この時代にも学校はあります。若者が戦に関わることを学ぶ所です。」
「私の時代では、子供達が読み書きからいろんな分野の勉強をする所なの。」
「へぇ……」
「その学校にはね、同年代の子供達が沢山いるんだけど、友達なんてろくに出来なかった。作らなかったっていう方が正しいかな?」
「何故ですか……?」
「学校にいる間は勉強して人と話そうとしなかったからね。学校の時間の前後は働いていたし、友達と遊ぶ時間なんて作る余裕無かった。」
「それは……寂しかったでしょう」
「……少しだけね。でも、私は生きるために働かなくちゃいけなかったし、親と一緒に暮してる子達と話が会うとは思えなくて。私が皆と違う生活をしてるって知ると、私に声をかける人なんて誰もいなかった。」
「……冷たい人が多かったんですね」
「まあ、その年代って自分と違う人種を腫れ物みたいに扱うから。変に気を使われるより、ほっとかれてた方が私も気楽だったしね」
「そうなんですか……」
「それで、学校卒業してすぐ料理人になったの」
「なぜ……料理人に?」
「人間、食べて行かなきゃ生きていけないじゃない?食は一生関わることだから、料理が出来れば仕事はいくらでもあったから。それに、賄い出るところなら食費も浮くしね」
「そうですね……」
「私は西洋の国の料理を作る料理人だったの。多分今の時代ではまだ食べられてないと思うんだけど……」
「西洋……阿蘭陀などの国ですか?」
「そうそう!その辺りの国の料理。」
「へぇ……いつか食べてみたいです。様の料理……」
「うん。優鞠のためになんでも作るよ。」
「ふふ、楽しみです」
優鞠は、そういうと優しく笑った。