第7章 告白大作戦!
‐かおるside‐
こっちのコートを見に来た時、なんか木兎の元気がないように見えたけど。
満面の笑顔で返してくれた姿を見ると、気の所為だったのだと思う。
私に気付いて元気になってくれた、だったら嬉しいけど、多分違うから期待はしない。
バレーボール選手である木兎の試合を見に行った事はなくて。
見るのは最初で最後になるかも知れない木兎の勇姿を目に焼き付けたくて、試合を食い入るように見ていた。
ルールなんか分からなくても、惹き付けられる木兎のプレー。
まぁ、元からそういう気持ちがあるから欲目で見ている所も勿論ある。
今日で終わらせる恋でも、この人に惚れて良かったと思った。
木兎ばかり見ていて、試合展開なんか気にしてなかったけど、どうやらあっさりと勝ったようだ。
もう一組の準決勝も、終わったようで、その勝者は赤葦達。
私にとっては、知らない人が混ざっているけど、あの4人は知り合いみたいで、決勝前に集まって親しげに話をしている。
そこに、主催者だろう人がスピーカーを持って近寄っていった。
『決勝前に、チームの代表者さんから一言!お願いします!』
機械を通した、主催者の声が聞こえて、そちらに注目する視線が向く。
差し出されたスピーカーを受け取ったのは木兎だった。