第7章 告白大作戦!
‐かおるside‐
ついに、きてしまった。
赤葦と旅行の日が。
目的地は、神奈川県…って、隣の県なんだから日帰りでも良いような場所。
ペア招待券がある事を理由に泊まりにしていたけど、こんなに近場なら帰りたい。
一晩、同じ部屋で過ごすとかマジ無理。
そう思っても、来てしまったのだから帰る訳にもいかず。
鎌倉で寺なんかを観光で回っていた。
身長が違う分、歩幅にも差があるのに合わせてくれるし。
歩きすぎで疲れてきたりすると、言わなくても気付いて休憩を入れてくれるし。
食事とかしても、俺が誘ったから、なんて言って奢ってくれるし。
手を繋いだりとか、ベタベタする事はないけど、赤葦と本当に付き合ってるんじゃないかって錯覚してしまいそう。
だった…けど。
「…りらは、こういうのを見ても感動もしなさそうですね。」
夕日が沈む、海岸沿いを歩いている時にこんな事を言われて、正気に戻った。
今まで、迷っていた思考が晴れていく。
「確かに、りらちゃんはちょっとズレてるから、感動する場面が人と違いそうだね。」
赤葦に他の女の子と比べられても、悔しくないんだ、私は。
笑って、こうやって返せるくらいだから。
それは、私の1番も、この人じゃない事を示している。
「…赤葦、やっぱ私はアンタと付き合えないや。今日は、有難う。」
気付かせてくれて、有難う。
私は、1番好きになれる人が良い。
それで、私を1番にしてくれる人が良い。
他の女の子と比べられるのを当たり前にするなんて、嫌だ。
だから、木兎にフラれても赤葦とは付き合わない。
木兎と、ちゃんと話をしてケジメをつけて、次に進もうと決意した。