第23章 期間限定sharing.
‐みつside‐
夜中に玄関の扉が開く音がして、姉ちゃんの帰宅を知る。
自室で、こうやっていても知れるのは、お泊まりしてないって事だけ。
わざわざ出迎えて、少しの雑談とかする関係なら、もっと聞ける事もあるだろうけど。
元々、あまり友好的な態度をとってなかった私がやったら警戒されるだけ。
しかも、姉ちゃんが家に帰りたくない原因の1つだろう私の顔なんか見たくもないだろう。
まぁ、そう仕向けたのは私自身だから仕方がない。
家に居たくない空気を作って、姉ちゃんが頼る相手を知ろうとした。
まずは、その空気を払う為に仲裁をテツローくんに頼むだろう事までは予想出来ていた。
ただ、テツローくんも頼れないと知ったら、どうするか?
その時は、彼氏であるアキノリくんのトコに行くと思っていた。
2人に何かあったとしても、喧嘩くらいだったら、頼る事は仲直りのきっかけになるだろうと、軽く考えていた。
「今日も、帰ってきたね」
京治も物音に気付いたようで、溜め息混じりの声を出す。
「お前が止めたから、木葉さんには連絡してないけど、これからどうする気?
嫌な気分にさせたまま、りらを置いて家を出る?俺はそんな事、出来ないから、お前だけ出ていかせるよ?」
京治は、この作戦の為に姉ちゃんを構えていないから不機嫌だ。
それでも、アキノリくんに勝手に連絡して、姉ちゃんが口に出さない真実を知るのは嫌。
喧嘩したとか、別れたとか、姉ちゃんから先に聞きたい。
何故か重要な部分を略しがちな人だから、余計な先入観を持ちたくなかった。
「とりあえず、姉ちゃんと話してみる」
どうやっても、怒られるのだけは確定だけど、行動に出してくれないなら、もうこれしか方法はない。
了解を示す頷きの後、すぐに眠りに落ちる京治の隣で、緊張して眠れない夜を過ごした。