第23章 期間限定sharing.
‐黒尾side‐
りらの様子が変なのは、木兎達が出ていく少し前から。
何か、荷物らしい段ボール箱を持ち帰ってきてからだ。
ただ、それを聞く機会も無ければ、りら自身は普通に過ごしている顔をしてたから聞けずにいた。
やっと、行動に出たのは木兎達を引き止めようとした時だ。
普段のアイツなら、自分の淋しいって感情より、2人の幸せを願って送り出すくらい出来る筈だ。
更に驚いたのは、俺は夜勤でその場に居なかったが、皆にも出ていく日を決めろと言い出したらしい。
木兎達を引き止めようとするくらいなのに、それはおかしすぎるだろ。
まぁ、りらが変なのには他の奴等も気付いてて。
「りらは正直だから、名前を出した時に、何も無いと言うのは、本当に何も無い。多分、連絡すらも。
現状が分からないから‘何も無い’と言ったと考えるのが妥当ですね。」
「別れてたとしても、周りに気を遣わせないように隠すタイプですケド、態度には出ますし。りら、辛かったら笑うでしょ?」
翌日、りらのバイトと入れ違いに帰った俺に、夜にあった事を報告してきた。
その後すぐに、みつ以外は仕事に行ったが、いくら夜勤明けの俺でも、そんな話を聞いちゃ寝られる筈も無く。
「テツローくん。私、イイコト思い付いたんだけど、聞いて貰っていい?」
みつの思い付きの話を聞いて、大した判断力もねぇまま、その作戦に乗る事にした。