第21章 企み秘めたる結婚式
‐きとりside‐
色んな疑いだとかが晴れたようで、クロのご機嫌は持ち直したようだ。
それは、私にとって有難い事で、テーブルを挟んで乾杯する。
私達のする会話は、殆どが皆の事で、色気なんか欠片も無かったけど。
クロと一緒に過ごせる時間が、何よりも好きだ思った。
ここ数日間泊まりに来ていたバカップルとの食事より、今の方が落ち着くし、楽しいのだ。
永遠に続けばいい時間…なんて、現実的でもない事を考えるくらい、今日が終わるのが惜しい。
でも、クロって男は、期待させてくれない男で。
「そろそろお開きにするか。センパイ、明日は仕事だろ?」
今の一時の終了を告げてきた。
「そうだね。片付けしたら、風呂入って寝るわ。」
もう少しだけでも、って我儘を言うような可愛い性格はしていない。
今を長引かせる為に出来るのは、片付け名目でここに留まる事だけ。
「俺は明日まで休みだし、片付けくらいしておくぜ?」
それでも、この空間に居させてすらくれない。
「…そう?有難う。じゃ、遠慮無く風呂入ってくるね。」
好意からの言葉かも知れないと思うと、意地になる事は出来ず。
素直な礼の言葉だけを残して、部屋を後にした。