第19章 たまには女子だけで
もし、きとりちゃんが中継なんかしてなくても、赤葦さんはみつの言動を把握したいタイプだ。
実際に盗聴していたのも見た事がある。
そんな人を相手にするんだから、みつは警戒しなきゃならなかった。
そういう意味では自業自得だ。
もう1人、自業自得で怒られている人がいる。
リビングの中で、私がマイクを見付けたから、音声を垂れ流しにした事が判明したきとりちゃんだ。
りんさんが怒りを露にした顔をしている。
「アンタね、女子会の模様を男に聞かせて良い訳ないのくらい分からないの?」
「いや、その…。今回のは、さ。皆の本音を知ったら、彼氏陣がもっと皆を大切にしてくれるかなーって…。」
どうにか逃れようとしてるけど、助けてやる気にはならなかった。
でも、きとりちゃんの窮地を救おうとする人間は居るもので。
「はい、ストップ。そろそろ、センパイだけ責めんの止めろよ。
それにノって、全部聞こうとした俺等も共犯だろ?」
黒尾さんが2人の間に入る。
「確かに、そうね。でも、鉄朗は何で止めなかったの?アンタにはメリット無いわよね。
きとりは彼女じゃないし、そもそも中継してる本人が本音トークなんかしないもの。」
りんさんの怒りの矛先が黒尾さんに向いた。
共犯には違いないだろうから、それは別に良い。
問題は…。
今はまだ、タイミングを見計らっている2人の関係に、口出ししそうになっている事だ。
それを、1番分かっているのは、りんさんの筈なのに…。
アルコールが入っている状態では、歯止めが利かなくなっているようだった。