第17章 彼氏トレード
めんつゆと顆粒だし、砂糖、適量を鍋に入れて混ぜる。
そこに、油抜きしたかき揚げもどきを入れて煮込んで、卵でとじる。
それを口で説明した。
「適量で分かるか!」
「口で確かめて。」
「姉ちゃんみたいなプロじゃないんだから出来ないって!」
「私だってプロじゃない。調理経験年数足りなくて、免許ないから。」
つゆを作る段階で、すでに喧嘩。
私とみつは、とことん相性が悪い。
この調子の言い合いをしながら、なんとか卵とじ…いや、つゆが多すぎてべちゃべちゃの、やっぱり美味しそうには見えない卵とじ風の何かが出来上がった。
でも、多分、さっきの、かき揚げの成れの果て、残骸、もどき、よりはマシな筈だ。
みつの料理下手は、ここまでくると逆に才能に見えてくる。
切ったり、炒めたりは出来ると言っていたのすら、怪しいと思えてきた。
まぁ、赤葦さんはみつが料理出来ない事を気にしてないようだったから良いか。
首を突っ込み過ぎるのも面倒だ。
呆れもあって、もう何も言わない事にして、居間に戻った。
そこには、すでに食事をしていた2人と、揃っていた私の家族。
私達も混ざって、食べ始める。
だけど、赤葦さん以外はみつが作ったものには手を付けなかった。
唯一食べた赤葦さんも、口に入れる度に眉を寄せている。
…結果。
赤葦さんの依頼と、両親の説得により、私が料理を教えるという、なんとも不都合で面倒臭い事が決定したのでした。