第17章 彼氏トレード
2人は、人より自分の事を考えろって言いたいらしい。
くどいぐらいに、秋紀との幸せを掴めと言ってきた。
本人間で納得している事に、周りが意見するのは無意味だと思う。
こんな説教、必要ない。
「つか、みつ。料理どうすんだ?そっちの修羅場終わったんなら、再開しても良くね?」
私が苛々を言葉に出す前に、秋紀が2人を止めてくれた。
「アキノリくんの為に言ってるの、分からないの?」
「分かってるが、余計なお世話だ。」
「そうやって、世話を焼かないとアンタ達は進展しないでしょう?」
「俺は、りらが自分で決めた事を曲げないっつーの、よく知ってる。周りに言われたからって、渋々プロポーズ受けるってんなら、こっちからお断りだ。」
上手く話を逸らす事は出来ず、標的が秋紀に移ったとはいえ、継続されるお説教。
いつも、特に赤葦さんには言い負かされる秋紀なのに、言い返していて。
「俺等の問題なんだよ、これは。お前等の意見は必要ねぇの。本人同士で納得してんだから。」
私が言いたかった事も分かって、代弁してくれた。
それが、何よりも嬉しい。
気持ちを表現する為に、秋紀の手を握ると、こっちを見てくれた。
照れたように笑う顔が愛しくて、つい顔を近付ける。
「それはダーメ。2人っきりの時にしような?」
キスしようとしていたのは気付かれていて、口を手で塞がれた。
「結婚とか、形に拘らなくても、ラブラブなら良い…のかな?」
「良いんじゃない?俺達が口を出すのは野暮だったね。」
少し離れた位置から聞こえる2人の会話。
これで、やっと説教が終わった。