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【HQ】繋がる縁の円

第13章 お食事会


秋紀が何を不安がっているのか、分からない。
何かあっても、どうせ赤葦さんが丸く収めて帰ってきそうだからだ。

ちょっと思ったより遅かった2人の戻りだけど、雰囲気が悪いなんて事はなく。
寧ろ、みつが気持ち悪いくらいヘラヘラと笑っていた。

やっと、飲み物が揃って乾杯になり、食事に手を付ける。
やっぱり秋紀の料理はプロの味で、感動していた。

だけど、秋紀が褒められるのは、うちの男衆からすると面白くないらしく。
味が薄いだの、何だのの文句ばかり言う。

父の方は母が宥めたけど、弟の方には誰も何も言う事が出来ない。
末っ子長男で、可愛がられ慣れした弟は機嫌を損ねると大変な事になるのを、家族は知っているからだ。

でも…。

「気に入らないなら、俺が食べるんで残して下さい。」
「嫌いなモン、無理に食べる必要ねぇぞ。」

赤葦さんと、秋紀が遠慮無く攻撃を始めた。
彼女の実家で、弟相手によくそんな事が出来るものだ。

案の定、機嫌を悪くした弟は箸を置く。

「後でコンビニ行ってきますから。食べたいものがあれば、言って下さい。」

赤葦さんの見せた気遣いも無視していたけど。

「え?何?赤葦のオゴリって?じゃ、俺は…。」
「アンタに奢るとは言ってません。りらになら奢りますけど。」
「ここで私を巻き込まないで下さい。それに、私じゃなくてみつに奢ってあげれば良いでしょう。」
「あ、じゃあ私はバニラアイスー!」
「みつ、小遣いあげてるんだから自分で出して。」
「え。赤葦、彼女に小遣いやってんの?」
「どうせその内、財布一緒になるんで。」

私達で会話が弾み始めると、仲間に入りたさそうにこっちを眺め始めた。

「…で、弟クンは何食いたいんだよ?」

そのタイミングで、話を弟に戻すのは秋紀。
弟は悔しそうだけど、食べたい物を口に出した。

なんだか、木兎さんを相手にしている時のような扱いで。
2人は、末っ子に対する耐性が凄く高い事を知った。
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