第1章 再会の裏話
ある日の夜中、もうそろそろ寝ようとしていた時に電話が鳴った。
相手は、木兎さん。
正直、良い予感は全くしない。
それでも、鳴り続ける着信音に耐えきれず、電話に出た。
『りらちゃん!一生のお願いだ!今すぐ来てくれ!』
大きな声で、いきなりこんな事を言われても意味が分からない。
まず、状況を説明してくれ。
心の中で、こんな事を思っていても口に出さなければ伝わる訳もなく。
ある住所を告げて電話が切られた。
行かなかったら、数分置きに電話がくるんだろう。
電源を切っておく事も考えたけど、あれだけ切羽詰まった木兎さんなら、他にも電話を掛けまくって、迷惑になるのも分かっている訳で。
諦めて家を出た。
もう電車もない時間。
早く行かないと五月蝿いから、タクシーを使って言われた住所の場所に向かう。
十数分で着いた、その場所は、小料理屋のようだった。
中の電気は点いているようだけど、暖簾も出ていなければ、看板も消えている。
入るのを迷っていると、また電話が鳴った。
『りらちゃん、今ドコだ!』
出た途端に、また騒がしい声。
言われた住所までは来ている事を告げると、目の前の扉が開いた。