第2章 人魚姫【ギャグ】
悪酔いするし変な魔法を使うし皮肉屋。一つでも直せば腕の良い魔法使いとしてもう少し評判も良くなるでしょうに。
「それよりお前、服を着ろ」
声が出ないショックで忘れられていたましたが、人魚である姫は人間になったとき何も着ていませんでした。アーサーが顔を真っ赤にしながら目を背けています。彼が魔法をかけると、光とともに綺麗なドレスが姫の身を包んでいきました。あっという間に人間のお姫様のようになったにアーサーは言います。
「それやるからとりあえず着とけ。いつまでも素っ裸でいられちゃ困るからな。別にお前に似合いそうなのを選んだりとかはしてないんだからな!」
『はいはいありがとう。ドレスにホワイトボードは合わないしね』
「う、うるせえ」
悪名高いが憎めないツンデレ魔法使いをよそに、姫は海岸にある王宮へ向かいました。
王宮の前についた姫はどうやって中に入ろうか考えていたところ、美人な女性に会いました。
「こんにちは、私はエリザベータ、エリザでいいわ。どうかしたのかしら?」
『こんにちは、といいます。王子様に会いたいんです』
「あなた、しゃべれないのね。いいわ、私が案内してあげる。着いてきて」
話しているうちに、姫はエリザがこの前の女の人だということに気づきました。きっとこの人が助けたことになっているのでしょう。
「それにしても、あいつに用があるなんて、あいつに一体どんなことされたのかしら。場合によってはあいつを殴っておかないとね」
しかしそんな考えも、エリザの言葉によってかき消されました。どうやら王子様とこの女性は親密な関係というわけではなさそうです。
「着いたわよ」
荘厳な扉が目の前にあります。姫は恐る恐るドアをノックしました。
「俺様に用事か? 入ってこいよ!」
元気な返事が返ってきたのではエリザに連れられてしずしずと部屋の中へ足を踏み出しました。室内には洗練された調度品でいっぱい……と思いきやアイスがこぼれたパソコンが無造作に置かれていました。
『あの、この前、船上パーティーで海に落ちましたよね?』