第43章 あなたの為なら☆家康
『心配するな、あきら之丞は俺たちが必ず守るから。』
ただでも大変なのに、私を庇いながらじゃ まともに戦えないよね…。
『なるべく一人で頑張ります。』
頼りなさ気なあきらを家康が見つめる。
『あんたは俺といなよ。俺は政宗さんや秀吉さんと違って先陣じゃないし、そんなに危なく無いはずだから。
いいですよね?秀吉さん。』
そうだな、頼む、と言い残し秀吉は先に出陣した。
少しして家康の隊も出陣する。あきらも家康の後に従った。
やばい、緊張してきた。家康の事ばっかり心配してたけど、私が死なない保証も ないんだっけ。
『今からそんなに緊張して どうすんの。』
『そんなこと言われましてもですね…。』
緊張のせいで言葉まで おかしい。
『大丈夫だから。絶対にあきら之丞は死なせない。』
力強い声で言われあきらは落ち着きを取り戻す。
『ありがとう。それじゃ、家康は私が守るよ。』
真剣な眼差しで見つめるあきらに、あっそ、とだけ答えると家康は前を向いた。
『まったく、弱いくせに。』
真っ赤な頬の家康が呟いた。
その頃、先陣を切って上杉・武田軍と衝突していた政宗たちは、急に横から攻めてきた黒装束の部隊に挟み撃ちにされていた。
『くっそぉ、こいつら秀吉が取り逃がしたっていう顕如の一味か!?その割に数が多くねぇか?』
秀吉は確か「数人逃した」と言っていたはず。
さては…その数人が、また同志を集めやがったか。
『まずいな、少し押され始めてる。』
秀吉も困惑顔で言う。
『もう近くにいるとは思うが、少しでも早く加勢するよう、家康に伝令を出す!』
『解った。』
秀吉の言葉に正宗も賛同した。
… … …
あとどれ位で追いつくだろうと、あきらが思案していると、前方から駆けてくる馬が見えた。
『伝令ー!家康さまに伝令でございます!』
何事かと皆が立ち止まる。
家康の前まで来ると馬から飛び降り、慌てた様子で持っていた書状を手渡す。
『秀吉さまより預かって参りました!』
家康は、それを受け取るとサッと目を通し叫ぶ。
『先陣の部隊が、上杉・武田の軍勢と顕如の軍勢に挟み撃ちにされている!俺達も急ぐぞ!』
顕如の軍勢!?大半は捕らえたはずじゃ…。
『考えるのは後。あきら之丞、着いてこれる?』