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イケメン戦国/偽りの君

第39章 新たなる戦い


政宗の背中を見ながら一時間ほど進むと平野に出た。

『よし、ここに本陣を張る!』

前方で秀吉の声がする。
家臣達が わらわらと作業をし始めた。

私も何か手伝えることないかな。

近くの家臣に尋ね、荷物運びを手伝う。
本陣を築き終わる頃には、辺りがどっぷりと闇に包まれていた。
皆で遅めの夕餉を取る。
武将達は一部屋に集まって作戦会議らしい。
暇を持て余したあきらは本陣の周りを歩いていた。

『あきらさん。』

不意に暗闇から声を掛けられ刀の柄を握る。

『なんだか すっかり戦国時代に馴染んだみたいだね。』

この声は…。

『佐助くん!?なんでこんな所に…。』

と言いかけるあきらの腕を引いて木の陰に隠れる。

『しっ!気付かれるとチョンだから。』

佐助が首の前に掌を当てて、スッと横に動かす仕草をする。

『あぁ、ごめん!…って、なんでこんな危ない所に来たの!?』

あきらが眉を寄せて尋ねる。

『うん、どうしても急いであきらさんに伝えたい事があったから。』

『伝えたいこと?』

あきらが首をかしげる。

『この時代に来た頃、三ヶ月後位に またワームホールが出現するって言ったよね?』

うん、とあきらが頷く。

『色んな計算や検証をしたら、その出現が この二、三日のうちだっていう結論が出たんだ。』

えっ!?

それより、もう私達がこの時代に来てから三ヶ月経つんだ…。
時間の過ぎる早さに愕然とする。

『それも場所は丁度この辺り。』

『そうなの!?』

あきらの顔色が青くなったのに気付き、不思議そうに佐助が言う。

『どうかした?現代に帰れるのが嬉しく無いみたいだけど。』

『!!』

考えていることを読まれているようであきらは言葉に詰まった。

私は…。

『私は…。』

その先が出てこず言い淀んでいると佐助が先に口を開いた。

『…あきらさんも、現代に帰りたくない理由が あるんだね。』

も、って事は…。

『うん、俺もあるから、気持ちはよく解る。でも…。』

でも…?
佐助くんが言い辛そうにしてる時は、私に関係があることを告げる時だよね。
あきらは心を決める。

『言って。もう大概のことじゃ驚かないから。』


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