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イケメン戦国/偽りの君

第38章 約束☆謙信


『大声を出して すみません。でも、どうも あの ウニョウニョと動くのが気持ち悪くて…。』

あきらが恥ずかしそうに謝る。

『たかが虫ではないか。…足元にもいるぞ』

謙信があきらの足元を覗き込んで言う。

『ぎゃあ!!』

あきらは飛び退くと謙信に抱きついた。

『何処かにやって下さい!!』

俯いて震える声で訴えると、謙信がその背中を優しく撫でる。

『嘘だ、すまん。そんなに怖がるとは思わなかった。』

しばらく背中を撫でられて落ち着くと、あきらは自分がやった事に驚き慌てて体を離した。

『重ね重ね すみません…。』

穴があったら入りたい。もう落ちたくはないけど。

『いや…構わん。』

そういう謙信は、特に何とも思っていないようだ。
あ、そうだ!

『あの、謙信さま。先日は お見舞いの梅干し、ありがとうございました。
勿体なくて痛い所には貼れなかったので、美味しく頂きました。』

あきらがペコリと お辞儀をする。
風呂敷包の中から小さな箱を取り出すと、謙信に差し出す。

『謙信さまは酒がお好きでしたよね?それなら甘い物も大丈夫かと思って、甘味を作ったのですが。』

箱を受け取り、謙信が蓋を開ける。
中にはコロンと可愛らしい形をした白い塊が並んでいる。

『ん?初めて見るな。何だこれは?』

不思議そうに謙信が中身を見つめる。
ボンボン、って言っても伝わらないよね。

『お酒が中に入った砂糖菓子です。』

『…お前は料理を作るのか?』

『はい、たまに。』

と言いながら、食べてみて下さい、と即す。
謙信が塊を一つ口に放り込む。と、少しして、ん?という顔をする。

『美味いな。中から酒が溶け出してくるぞ。それに、甘い物と一緒に取ると、酒の旨味が増す。』

続けて もう一つ口に放り込む。

『気に入った。』

謙信が薄く微笑む。
良かった!現代ならオーブンで焼くところを釜でやったら、なかなか上手くいかずに作るのに3日かけた甲斐があった。
何かを考えている様子の謙信が口を開く。

『あきら之丞、また何か作って寄越せ。その代わり、お前に剣を教えてやる。』

あ、名前 覚えててくれたんだ。
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