第4章 出会い☆幸村・佐助
顕如と別れたあきらは、なんとか森を抜ける事が出来たものの、何処へ向かっているのか さっぱり解らない。
『そりゃそうだよね。土地勘無いし…。それにしても暗いな。』
夜でも街灯やネオンで明るい現代を思い、あきらは泣きそうになる。
それでも夢中で走っていた時だった。
『危ねえっ!!』
え?
急に視界が開けた。
足元も…開けた。
『キャ…』
(落ちる!?)
思わず目を瞑るあきらの体には、いつまでたっても衝撃が来ない。
恐る恐る目を開けると、見知らぬ男の人の腕の中にいた。
『痛ってぇー!っつーか重てえ!さっさと降りろ!』
『す、すみません!!』
慌てて謝り、あきらは男の人の上から飛び降りた。
『ったく、危うくガケから真っ逆さまだったぞ。おめーはイノシシかっ!!』
いきなり怒鳴られて、あきらは自分の立場も忘れ言い返す。
『イノシシなんて初対面の人に向かって失礼じゃありませんか!?』
すると男の人はフッと笑いながら、
『そんだけ わめけるなら大丈夫だな。俺の名前は真田幸村だ。お前は?』
と名乗った。
『あ…あきら之丞です。助けて頂いて ありがとうございました。』
幸村は、気にすんな、と笑ってくれた。
『幸村?叫び声が聞こえたみたいだけど、どうし…君は!』
向こうから誰かが歩いてくる。
あきらの ほんの側まで来て、ようやく誰か解った。
『あ!あの時の!』
本能寺跡にいた、眼鏡の彼だった。
まるで忍者みたいな格好してるけど。
『良かった、無事だったんだね。』
『なんだ、知り合いなのかよ。』
幸村が安心したように呟いた。
頷くあきらに眼鏡の彼が言った。
『俺の名前は佐助。猿飛佐助だ。で、これが…』
『コレって言うなっつーの!俺はちゃんと名前言ったし!』
『ちゃんとしている幸村…珍しい。』
2人の会話を聞きながら、真田幸村って 有名な武将じゃなかったっけ?と思う。