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イケメン戦国/偽りの君

第27章 顕如 討伐作戦☆光秀・政宗


『なっ!お前、そんな状態のあきら之丞を置いて帰って来たのか!?』

『まぁ…そうだな。』

素っ気なく答える光秀を睨み、政宗は今にも外に飛び出しそうだ。

『落ち着け。お館様にお任せしておけば大丈夫だ。
それより、そろそろ顕如の手勢を捕らえた秀吉たちが戻ってくる頃だと思うが。』

『なんだと!?なんでそれを先に言わねえんだ!』

政宗が慌てて踵を返すと、光秀も ゆっくりと城の中へ戻る。

間もなく、城の周りが騒がしくなり 秀吉と家康の隊が帰って来たことを知らせる。
政宗も慌ただしく、捕らえた顕如軍を牢に入れる作業をこなす。
本隊のうちの幾らかを取り逃したと、秀吉が苦々しい顔で告げた。

『顕如は捕らえたんだろ?ひとまず、良しとしようぜ。』

政宗が秀吉の肩を叩く。

その後ろで、羽交い締めにされた黒装束の男の1人が喚いている。

『信長は殺せなかったが、奴の弟君は今頃、ただの肉塊になっているかもな!アッハッハ!』

その言葉に秀吉と政宗が顔を見合わせる。

『どういう意味だ!?』

政宗が男の胸ぐらを掴んで問いただす。

『…弟君が逃げ出したんで少し追いかけたら、足を滑らせて勝手に古井戸に落ちたのだ!
この寒空では、どれ程 体力が持つか…フハハ…
力尽きた弟君を見た時の信長の顔が目に浮かぶわ!』

ガッ!!

政宗が男の頬を殴った。どうにか怒りを鎮め、

『…連れて行け。』

と、側にいた家臣に引き渡す。
どうなってる!?あきら之丞は信長さまが助けたはずじゃ…。

『秀吉、政宗、俺の斥候から最新の情報だ。』

光秀が足早に2人の側へ歩み寄る。

『自分の代わりにお館様の首を差し出せと言われ、逃げ出したあきら之丞が…追われる途中で古井戸に落ちた、と。
幸いお館様に助けられたが…容態は不明だ。』

『あの馬鹿…。』

顔を歪めて政宗が呟く。

『とにかく、俺たちはお館様の帰りを待とう。』

眉を寄せながらそう言うと、秀吉は再び捕らえた者たちの処理に戻った。

…くそっ!やっぱり俺が出るべきだった。
政宗が拳で牢の扉を殴る。

『あいつに何かあったら俺は…。』

俺は…?

不意に出た言葉にハッとして口元に手を当てる。
落ち着け。確かに興味はあったが、そこまで俺が心配するような相手じゃねぇだろ。
湧いて出そうな感情を無理矢理抑え込む政宗だった。
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