第48章 あなたの為なら☆幸村
ボッ!と幸村の顔が赤く染まる。
信玄は にやにやと笑うだけだ。
『ん…。』
丁度その時、あきらが意識を取り戻した。
『信玄…さま?』
同じ位の目線に信玄がいて首を傾げる。
あっ、私、幸村に おぶわれてるんだった。
あきらが慌てて声を掛ける。
『幸村…ごめん!もう…平気だから、降りるね。』
そう言いながら幸村の顔を見る。
ん?幸村の顔、赤い?
私をおぶって帰ってきたせいで疲れてるんだ。
『本当にごめん。重いし、きつかったよね。顔赤くなってる。』
『…きつくて赤くなってるわけじゃねーよ。』
拗ねたように幸村が言う。それなら、どうしたんだろう?
と、そこに佐助と謙信も やって来た。
幸村が、おぶっていたあきらを、そっと降ろす。
『謙信さま、佐助くん…皆さん、ご迷惑をかけて すみませんでした!』
あきらが深々と頭を下げる。
『それと、佐助くんから聞いたと思いますが、
500年後の未来から来た事、隠していて ごめんなさい。』
はーっと溜息を吐くと謙信が言った。
『元の時代に帰らなければ、あきら之丞が幸村を殺すと聞いた時は、流石の俺でも驚いたがな。』
『まぁ、無事だったんだし、細かいことはいいじゃないか。確かに俺も たまげたがね。』
信玄が微笑んだ。
『そうですよね、私が女だったことなんて、細かい事ですね。』
あはは、と笑いあきらが言うと、佐助以外の三人が、ん?という顔をする。
ん?
あきらも三人の顔を見回す。
『なんだってー!?散々 悩んでたのに…。』
幸村が口をパクパクさせて震えている。
横目で佐助を見つめてあきらが尋ねる。
『あれ…?佐助くん、私が女だってことは…。』
『ああ、それはあきらさんの口から言った方がいいと思って伝えて無いよ、って言うの忘れてた。』
佐助が何食わぬ顔で答える。
そ、そんなぁ…。
『ちっくしょー、まったくよー!』
いきなり幸村に抱き締められ、一瞬 何が起こったのか解らなかった。
『やっぱ、お前が嫌だって言っても離さねぇ。』
幸村は、皆に「いつまでやってるんだ」と突っ込まれるまで、ずっとあきらを抱き締め続けた。