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イケメン戦国/偽りの君

第48章 あなたの為なら☆幸村


あっという間に小さくなる佐助を見送ると、そっと天幕の中に戻る。

幸村を…手にかけるって事は、もちろん私が幸村の近くに行く機会があるってことだよね。
と言っても、確か幸村って「一騎当千」
(一人で多くの敵に対抗出来るほど強いこと。)
とか言われるほど強い武将だったはず。
どう考えても、やっぱり私にどうこう出来る相手じゃないような。

『あきら之丞。』(5秒経過)

いや待てよ、まかり間違って私の刀が当たっちゃう可能性も あるんじゃ…。

『あきら之丞〜。』(10秒経過)

いやいや、そんなの弾き飛ばされるでしょ。


ペシッ!


『あいたっ!』

頭を叩かれ我に帰る。

『何を面白い顔して うんうん唸ってんだ?お前。』

『あ、政宗。って、いきなり叩いたら痛いしっ!』

『いきなりじゃねぇよ!さっさと用意しろ。信長さまの命で、お前は俺と一緒に出る。』

えっ!?政宗って先陣のはずじゃ…。

『喜べ!真っ先に敵と戦って武功を挙げられるぞ。』

いや、そんなキラキラした目で言われても喜べない。
だいいち…。

『刀の腕もまだまだなのに、邪魔する予感しかしないんだけど。信長さまは何を考えてるんだか。』

にっ、と政宗が笑う。

『まぁ、気にするな。俺の背中に隠れてる間に終わらせてやるさ。』

『はぁ…。』

気が進まないままに支度を済ませ、政宗や その家臣と共に馬に乗って陣を立つ。
向かう道すがらも、ずっと暗い顔だ。

『ははっ、そんなに怖がるな。…ん?』

言いながら政宗が前方に目を光らせる。

『あの赤揃え…。敵将自ら お出ましとは腕が鳴るぜ。』

えっ!

あきらも慌てて前を向くと、真っ赤な鎧に身を包んだ騎馬の一団が、こちらに向かって来る。
その先頭に、ひときわ目立つ十文字槍を携えた幸村の姿があった。

『貴様ら心してかかれ!行くぞ!』

オーッ!という掛け声と共に、政宗達が走り出す。

ど、どうしよう!?私は どうすれば…。

おろおろしながらも着いて行く。
敵の一人があきらに向かって刀を振り下ろした。

嘘ーっ!

ガキン!

刀と刀がぶつかり合い火花が散った。あきらは何とか受け止めたものの、勢いで態勢が崩れそうになる。

政宗の嘘つきー!

『あきらさん、このまま戦ってるふりをして。』

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