第11章 【光秀 ~準備編~】
この日も麗亞は世話役として忙しく動いていた。
「これで全部回った・・と。着物も頼まれたものも届けたし。」
すると視界にちらっと見た顔が入り込む。
(光秀・・・さん?)
あの透けるような白い髪をなびかせているのは紛れもなく光秀その人。それがスッと、裏路地へと消えて行くのを確認した。
「どこに行くんだろう・・・?」
こんな昼間から裏路地にコソコソ入り込むなんて滅茶苦茶怪しいことこの上なく、ふと、頭の中ではまた光秀が良からぬことをしているのではないかと不安になった。
「また光秀さん一人で危ない事してるんじゃないかな?」
麗亞は慌ててその裏路地の道を覗き込む。するとずっと先に光秀が歩いているのを見つけた。
(いた!!!)
すると路地の先の更に細い路地へと入っていく。慌てて足音を立てないように路地に入るとその曲がった路地で止まりそーっと覗き込む。すると先に行く光秀が最後の路地を左に曲がった。
光秀が最後に曲がった路地まで来た所で、ドキドキしながらそーっと顔を覗かせる。すると目の前に光秀の顔が。
光「どうした? 間者の真似事などして?」
「ひあぁぁぁぁっ!!」
思わずびっくりしてのけ反った。
光「最も、あんなずさんな尾行した上にそんなでかい声で驚くようじゃ間者は務まらんがな・・・。」
ニヤリとほくそ笑む光秀に応戦しようと麗亞は口を開いた。
「だってまた光秀さん一人で危険なことしてるんじゃないかって心配になったんです!こんな怪しい路地裏でなにをしていたんですか?」
光「策略家は人に手の内を見せないものなのだが・・・。」
そういうとくるりと踵を返し、路地の奥へと進む。
「あ・・あのっ?」
首だけ後ろに向け答えた。
光「ついてこい。」
そう言うと一番奥まで行き、その角にあった家の中に入っていった。
麗亞は慌てて後を追い、その家の中へと入った。すると。
中にはこじんまりしている家で、薄暗い。
光秀はろうそくに明りを着けると、上りはなに置いてあった行燈へ火を灯す。
一気に中がふんわりと明るくなる。行燈のある部屋の中央には囲炉裏があり、その奥にも襖があり、部屋があるようだ。
そんなに広い家ではないようだ。
「ここ・・・は?」
光「暫く、借りている隠れ家の一つ・・・とでも言っておこう」