第10章 【三成 ~準備編~】
「ううん!! 凄いよ!!三成君。きっと喜ぶよ。だって学校にいけない子供達も居るんでしょ?それならお勉強できる本があればみんな喜ぶと思う!」
三成の手を取り麗亞は熱っぽく三成の案を称賛する。
三「麗亞様・・・・。」
その手の温かさに、心の臓が早鐘を打つ。
三(どうしたんだろう・・・私は。・・・・なんだかムズムズするような。恥しいような。)
三成は麗亞の顔を覗き込み、思わず頬に両手を当てる。
「みつ・・・なり・・く・・ん?」
近づいて来る三成に何事かと思いつつも、顔を逸らせないままいると。三成の唇が麗亞の唇に重なった。
「ん・・・・」
思わずぎゅっと目をつむり麗亞は三成の口づけを受け止めた。触れるだけの口づけではあったが、唇が熱い。
三成は顔を離すと、潤んだ瞳で三成を見つめる麗亞のしどけない顔を目の当たりにすると。自分がなにをしてしていたのかを頭の中で整理した後青くなった。
三「あ・・申し訳ありません麗亞様・・・私は、なんて言う事を・・・。」
しゅんとする三成をなんだか気の毒に思った麗亞は
「えっと・・・だ、大丈夫!! びっくりしたけど・・・。大丈夫だよ・・嫌じゃなかったし・・・。」
三「え?」
自分の言ったことにハッとした麗亞は慌てて弁解をする。
「えっと、その・・・それは。」
三「麗亞様・・・」
そう言うと、麗亞をぎゅうっと抱きしめた。麗亞の体温が流れ込んでくるように、三成の心も温めた。
「三成・・君・・・。」
ドキドキと跳ねあがる鼓動を止められないまま、麗亞は三成に暫く抱きしめられるのであった。
その外の廊下では壁にもたれかかっていた光秀が小さくため息をついて、三成の御殿を後にするのだった。
光「三成も、やる時はやるのだな・・・。自覚すらしていない行動とは時には驚くべきものだな・・・。」
ふと、足を止めて空を仰ぎ見る。
光「政宗も、こんな気持ちになっていたのだな・・・。」
その光秀のつぶやきは、誰にも聞かれることなく、空に溶けて行った。