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イケメン戦国パラドックス★

第9章 【顕如・ほっこり編】


麗亞は今日も城下に仕立てた着物と各お屋敷への文配りをしていた。

「ふぅ・・。これで全部終了っと・・・」

昼前にはすべてをやり終えた所で一息つく。すると、どこからかしら鳴き声が聞こえてきた。

「ん?たしかここらへんから・・・。」

声の聞こえた方の路地へと入っていくと。小さな子犬がフルフルと震えて木箱に入れられていた。麗亞の顔をみるとクゥーンという甘えた声を出した。

「わぁ・・・子犬・・・でも震えてる・・・。」

慌てて懐から手ぬぐいを取り出し子犬をくるんで抱き上げた。

「こんなに震えて・・・。捨てられたのかな?可哀想に・・・。」

抱き上げられて麗亞の温もりを感じたのか子犬は鼻先を着物の襟もとに擦りつけた。

「ふふふっ・・・甘えん坊さんなのね・・・。お城に連れて帰っても大丈夫かな?わさびにいぢめられないかな?」

とりあえず抱きかかえたまま路地を出ようとしたその時。目の前に人が数人立ちはだかった。

浪1「おっ・・・こんなところにいい女がいるぜ・・・」

浪2「今日はついてるなぁ・・・。」

下卑た笑いを浮かべた浪人たちはじりじりと麗亞へとにじり寄ってくる。麗亞は慌てて路地の奥へと走り出した。

「逃げなきゃ・・・!!!」

奥へ奥へと行くと暫くして最後の道を曲がったところで目の前が行き止まりとなった。

「うそっ・・・?!!どうしよう。」

後ろからは浪人たちが走ってくる音がする。路地の奥に摘まれた材木の陰に隠れる麗亞。

(見つかりませんように・・・)

浪1「可笑しいな?こちらに来たはずだが・・・何処行きやがった。」

浪人たちが近づく足音が聞こえる。麗亞は目を瞑って声を殺して必死に気配を消そうとする。
すると、子犬が麗亞の腕からすり抜け、浪人たちの方に走っていく。

浪2「あー?んだ?こいつ。」

犬「キャンキャンキャン!!!」

子犬は必死に浪人に吠え掛かる。

浪1「キャンキャン煩い犬だなぁ・・・こうしてやる!!」

浪人は子犬を軽く蹴散らした。するとキャン~という声と共に壁にぶち当たり倒れてしまった。

浪2「また起き上がると厄介だから切り捨ててやろうぜ。」

浪人の1人がすらりと刀を抜いた。それを見た麗亞は慌てて飛び出し、子犬の元に行く。
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