第3章 【武田信玄・準備編】
今日は安売りの朝市があるという事で麗亞は城下にやって来た。
そこで古着や売れ残りの反物の店を見かけた。
色とりどりで、反物屋で買うよりもずっと安価で売っている
「うわぁ・・・綺麗、それに安い。コレ買って何か作れるかなぁ・・あ、端切れもある・・・・。」
麗亞は目をキラキラさせて、欲しい物を手に取っていく。
値段が安いというのも有るが、あれやこれやと買っていくうちに
かなりの量になってしまった。一応風呂敷には包めるくらいにはなったけど、ちゃんと持って帰れるのか・・・。
「でも安いからいいよね。これだけかっても反物二本分くらいなんだもの。ふふふ。」
両手で風呂敷を抱え前を注意しつつ歩いていたのだが。足元の石コロには目が届くわけもなく、案の定つまづいてしまう。
「あっ・・・!」
両手がふさがっているので当然受け身が取れるわけもなく、派手に転ぶ・・・と思っていたのだが。誰かの腕に抱きとめられた。
「あ、あれ・・・・?」
信玄「危なっかしいな、姫は、こんなに大きな荷物どうしたんだい?安土の武将達はこんな大荷物抱えさせておつかいでもさせていたのか?」
聞きなれた、艶色の声。抱き留めてくれた人を見ると相変わらずの大人の色香全開の信玄様
(今日もバリバリのフェロモンまき散らしでなんだか気を抜くとクラクラする・・・いや、ちゃんとしっかり気を持たないと。)
「あ、有難うございます・・・。いえ、これは私がただ単にそこの露店で、端切れや古反物を買い込みすぎちゃって。」
信玄「そうか、でも、一人の方が好都合だな。姫を堂々と連れ去ることができる。」
「え?」
その言葉にちょっとドキっとした
「それはそうと、信玄様は何故ここに?」
玄「ああ、例の贈り物の材料をこの市でそろえようと思ってね。」
「何を作ろうと思うのですか?」
玄「気になるかい??」
間近でニコリ微笑まれるドキリと胸が高鳴る。
「ち、近いです・・・信玄様・・・」
玄「これから時間あるかな?、少し見ていくかい?」
危険な香りがしないでもないが、でも信玄の作業の内容にも興味がある麗亞。
「いいのですか?お邪魔しても?」
玄「ああ、君なら大歓迎だよ。」