第2章 【織田信長・準備編】
朝餉の後、軍議が行われたが、何事もなく程なく解散。信長は再び庭で作業に取り掛かっていた。
頼まれていた着物を届けた帰りに再び庭で作業をする信長を麗亞は発見する。一心不乱に作業を黙々と真剣にやっているようだ。
本来なら天下の織田信長のこんな姿は天地がひっくり返る程のありえない事ではないかと思うと可笑しくて仕方ない。
ふと信長が顔を上げると麗亞と視線が合った。
長「お前か・・・。仕事は終わったのか?」
「はい、今、政宗に頼まれていた羽織を届けた所です。」
縁側の隅で座って、竹とんぼの羽を加工している信長の隣に座り麗亞は作業の成り行きを見守る。
「何かお手伝いできることは有りませんか?」
長「いや、この作業は刃物を使うので危険だ、怪我をしては困る。」
「それは私が怪我をする程おっちょこちょいって事が前提でものを言ってますよね?」
すこし口を尖らせて言う麗亞
長「針子の仕事以外は不器用な貴様が何を言うか。」
「う・・・」
本当のことを言われ二の句が継げずにいると
長「話は違うのだが、もしもくりすますとやらに、誰か一人を選ぶとしたら貴様はだれを選ぶ?」
「え?それはどういう・・」
長「佐助から聞いた、クリスマスは、かれし、かのじょと過ごす日でもあると。」
「・・・難しいですね。1人だなんて・・・私は出来る事なら皆と楽しくクリスマスを過ごしたいです。彼氏とか彼女とか関係なくて。皆と・・・。」
皆で過ごすクリスマスを想像しているのか楽しそうに微笑む麗亞に信長は何か心の中をギュッと掴まれたようなそんな感覚になる。
「平和な世の中なら、いつでも二人きりで過ごせますけど、戦国の世なら皆と触れ合える時に一緒に楽しく過ごしたいです。甘っちょろいってまた笑われるかもしれませんが、折角知り合って仲良くなったのに。」
長「ふむ・・・・・お前はその方が楽しいか?」
「ええ、楽しいです。そんなクリスマスを想像するだけでもワクワクします。皆と宴を開いて、楽しく過ごしたいです。」
長「成程・・。」
その笑顔を見た後、また手元に集中する信長の心にストンと何かが降りてきた。