第2章 【織田信長・準備編】
次の日・・・・
「さて、今日は誰の所にお手伝いに行こうかな…。」
まだ日ものぼらぬ朝方にはだいぶ冷えて吐く息も白い。両手をこすりながら廊下を足早に歩いているとまだ明け方というのに何やら薄い暗がりで、がさがさと庭で音がしていた。その方に歩いていくと・・・
「の、信長様?!」
信長が、なにやら伐採した竹を大量に庭に持ち込んでいた。
長「麗亞か・・・。どうしたこんな朝早くに。」
「信長様こそこんなに早くに何をしていらっしゃるのですか?」
あの、大六天魔王織田信長と恐れられている人が庭師のように竹を集めて額に汗する姿を見て麗亞は驚きを隠せない。
信長「無論、子供達への贈り物を作るためだ。」
そうして、竹を等間隔に切り刻み、そして縦に起用に裂いてゆく。長ぼそい竹を切り出したと思ったら、その両端を対称になるよう小刀で器用に繊維に沿って切り出す。
「あ・・・まさか竹とんぼ?」
長「良く分かったな・・・お前の時代でもそのようなものがあるか?」
「材質は今のは違ってしまったりもしますが、ありました。」
軸にする竹も器用に角を取り棒にして、そして切り出した羽の真中心に穴をあけ刺すと・・・
「うわぁ・・凄い、早い・・・。」
感心してみている麗亞の顔を見て、したり顔の信長
長「できたぞ・・・。一つ目はお前にやろう。」
「有難うございます。凄い。こんなに簡単に作ってしまうなんて信長様凄いです。」
長「こんなもの造作もない事だ。この調子で作っていけば沢山作れる。」
そういいつつ、手を休ませることなく、作業を進めていく。
麗亞は貰った竹とんぼを両手で挟んで勢いよく飛ばしてみる。
するとそれは、思いの外飛ばずにぽとりと弧を描いてすぐに落ちてしまう。
「あれれ?なんで?」
それを見ていた信長は・・・
長「貸してみろ・・・。こうだ。」
信長の手から放たれた竹とんぼはふわりと空を舞いゆっくりと庭の端まで飛んでゆるりと落ちた。