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【ヒロアカ】Short Short

第2章 相澤消太◆愛妻弁当希望



 十歳の誕生日、なまえは全てを失った。
学校から帰ると、家は燃えていて、今日の為に休みを取っていた両親も、その中に居た。
火事は敵の仕業だという。なまえは敵を強く憎むようになり、そして、両親は自分のせいで死んだのだと思い込んでしまった。

 敵や災害の被害で、家族と暮らせなくなった子供たちが暮らす家がある。
なまえがここに来て、一ヶ月ほど経ったある日のこと。
ヒーローが慈善事業でよく訪れるこの家に、二人の大人がやってきた。
一人は、度々顔を見せている、プレゼントマイクだ。

「よう!なまえ!」
「プレゼントマイク…だれ?この小汚いひと…」
「小汚いってかぁ!これでも一応ヒーローだぜ!?な、イレイザー…イレイザー?」

イレイザーと呼ばれた男は、なまえをじっと見つめている。
なまえに穴でも開けるつもりなのだろうか。

「あ、あの…」
「…君、可愛いね」

大きな手に、なまえの両手が包み込まれる。
というか、ガッチリ握られて、離れない。

「俺の彼女にならないか?」
「………っ!おじさんの彼女なんて、やだっ!!」
「おじっ…」
「HAHA!フラれちまったなー」

こうして、ヒーローイレイザーヘッドもとい相澤消太となまえは出会ったのだった。

 「わたしをどうするつもりなの?…おじさん」
「おじさんじゃない、消太だ」
「…消太、さん」
「消太」
「消太おじさん」
「やめて傷つく」

謎の小汚いおじさんの家に連れてこられたなまえは、警戒しまくりで部屋の隅に座っている。
相澤が近付いて肩でも抱こうものなら、手をはたき落とされるので、迂闊なスキンシップは止めた。
このままいくと、相澤のガラスのハートにヒビが入ってしまう。

「なまえちゃーん、お腹空かない?」
「すいてないもん」

一目見て、相澤はこの子をとても大事にしていけると思った。
散々女っけのない人生を歩んできて、いきなり幼女でもいい。
初めて見つけた可愛い子が、相澤が信じる運命なのだから。

 夜寝ていると、なまえは必ずうなされた。
無理矢理添い寝をして数十分もすれば、苦しそうに呻く。
なまえの見る夢が、幸せなものではないことは分かる。
相澤はなまえの悪夢を消してやりたかった。それは自分の役目であって欲しい。

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