Volleyball Boys 2《ハイキュー!!》
第9章 ☆アルコールぱにっく:山口
突然のラブシーン、つまり天草を山口が床ドーンているこの状況。それに気付いた女子マネちゃんズは、キャーッと叫ぶ。騒ぎに駆け付けた烏野2,3年は呆気にとられる。
そりゃそうだ。大人しそうに見える山口が、大衆の面前で彼女を押し倒してるのだから。
『ちょっ、山口君っよけて!お願いっ!』
「星菜、好きだよ」
『ダメっ、みんないるから、山口君!』
「名前、呼んで?」
妖艶に微笑む山口に、ぶわあぁっと天草の顔が赤くなる。なんで"星菜"って名前で呼んでくるの、なんで名前で呼んでなんて言うの、なんで、
そんなに、幸せそうな目をしてるの……?
戸惑って抵抗を止めた隙に、山口はゆっくりと顔を近付けていく。ハッと我に返った天草が、口をぎゅむっと押し返す。
『ちょちょちょちょちょ!?山口君!?』
人前でキスをするのにはさすがに抵抗がある天草。いや、この体勢でも十分に抵抗があるけど。キスはもっと、ダメでしょ!
いやいやと首を横に振り、手を突っ張る天草。キスができない現状にイラッとしたのか、山口はむっと口を尖らせた。
「手ぇ、ジャマ……」
それだけ言うと、天草の両手首を片手で掴み、頭の上に縫い止める。そしてそのまま、なんの躊躇いもなく優しく唇を重ねた。
「「「キャ―――――ッ!!!」」」
「「「ぎゃあぁぁぁあっ!?!?!?」」」
『ん―――――っ!?』
悲鳴を上げる女子マネ、絶叫する男子、そしてくぐもった声を上げる天草。全員の視線が集まる中、山口は天草の唇を啄むようにキスを続ける。
初めはバタバタと足を動かし、もがくように抗っていた天草。だが、段々と表情が蕩けていき、甘い吐息も零れ出す。
どうしよう、気持ちいい。このままずっとキスしてていいかも……うっとりと目を閉じる天草。そして山口が下を入れようとした瞬間、天草は唐突にみんなが見ていることを思い出した。
『ん――っ、んんっ、ん―――――っ!!』
じたばたと力の限りにもがく。その声にハッとした澤村は、慌てて声を掛けた。
「おい、山口を天草から離せ!」